Mass-DAC | Drug-Eluting and Bare-Metal Stenting for Diabetes Mellitus: Results from the Massachusetts Data Analysis Center Registry |
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Laura Mauri, MD, MSc (Brigham and Women's Hospital, Boston, USA) |
【11月10日・ニューオリンズ】
試験背景/目的 糖尿病患者では虚血性心疾患の発症率が高く,米国では全PCI症例の約1/3を糖尿病患者が占めるという状況にある。一方で,糖尿病患者にはPCI後の再狭窄,心筋梗塞,心死亡の発生率が非常に高いという固有の問題が存在している。そこで,マサチューセッツ州公衆衛生省によるMassachusetts Data Analysis Center(Mass-DAC)データベースを用いて,糖尿病患者における薬剤溶出ステント(DES)とベアメタルステント(BMS)の有用性と安全性を比較する研究が企画された。
この結果は11月10日のLate-Breaking Clinical Trials IIにおいて,Laura Mauri氏(Brigham and Women's Hospital)によって発表された。
一次エンドポイントはPCI後3年の全死亡率,心筋梗塞発生率,標的血管血行再建術再施行率。
試験プロトコール この研究は,2003年4月1日~2004年9月30日にマサチューセッツ州の病院(連邦病院を除く)でPCIを施行した糖尿病患者を対象とした前向き観察研究である。マサチューセッツ州以外の居住者,データ入手不能,DES/BMS両方の植込み例を除外し,最終的にDES群に3,341例,BMS群に1,710例が登録された。このうち,交絡因子をマッチングさせたDES群1,476例,BMS群1,476例にて,一次エンドポイントの解析が行われた。
試験結果 DES群(3,341例)とBMS群(1,710例)の患者背景を比較すると,BMS群のほうが平均年齢が高いほか(DES群65.3歳,BMS群66.3歳),バイパス施行例(19.0%,23.3%),うっ血性心不全(16.6%,20.2%),腫瘍歴(1.9%,4.0%),GPIIb/IIIa阻害薬前投与(12.8%,18.5%)の割合が高いなどの特徴がみられた。またBMS群では,ST上昇型心筋梗塞に対する適用の割合が高く(8.5%,18.7%),緊急で実施される率が高く(9.1%,20.1%),病変血管数も多かった(1.90本,1.96本)。そのほか治療ターゲットとなった血管の分布にも両群ではちがいがみられた。
これらの因子をはじめ,67の交絡因子をマッチングさせた集団(各群1,476例)において,一次エンドポイントの比較が行われた。その結果,3年後の全死亡率はDES群で17.5%,BMS群で20.7%となり,DES群で有意に低かった(リスク差 –3.2%,95%CI –6.0~–0.4%,P=0.02)。心筋梗塞発生率(–3.0%,P=0.02),標的血管血行再建術再施行率(–5.4%,P<0.001)に関しても,一貫してDES群のほうが低いという結果であった。
Mauri氏は「BMSと比較した長期追跡において,DESはその有用性を失うことなく,死亡や心筋梗塞発生率の増加もきたさなかった」と結論づけ,糖尿病患者におけるDESの安全性と有用性を強調した。
コメント
Spencer B. King, III, MD | DESがBMSより優れているとは言い切れない |
David R. Holmes, Jr. MD | 糖尿病患者におけるステントの安全性と有効性の問題に答えがでた |