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[学会情報]米国心臓病学会学術集会(ACC)2009&i2 Summit
(2009年3月29日~31日 in オーランド)
編集部が選ぶ注目トライアル
Late-Breaking Clinical Trials
<Late-Breaking Clinical Trials III>
BL-1040 BL-1040 Myocardial Implant for the Treatment of Acute Myocardial Infarction
急性心筋梗塞治療のためのBL-1040(液体ポリマー)の心筋への注入

Shmuel Tuvia
Shmuel Tuvia
(エルサレム,イスラエル)

【3月30日・オーランド】
試験背景/目的 BL-1040(カルシウム架橋アルギン酸)は液体ポリマーの一種。この液体ポリマーを梗塞責任動脈に注入すると,梗塞後の毛細血管床の透過性により虚血部位に流入し,その場でゲル化する。これにより修復過程の傷害心筋を機械的に強化し,サポートするのが狙い。動物モデルを用いた実験では,BL-1040が梗塞部位の壁を厚くすることや,左室リモデリング・左室機能不全を抑制し,生存率を改善することが明らかになっている。

BL-1040を用いた初の臨床試験が実施され,3月30日のACC2009 LBCT III(Emarging Technologies)において,Shmuel Tuvia氏(イスラエル)がその結果を発表した。

一次エンドポイントは全有害事象の発生(再梗塞,心室性不整脈,心血管系イベントによる入院,症候性心不全,腎不全,脳卒中,死亡)。

試験プロトコール 参加施設はベルギー,ドイツの9施設。対象は心筋梗塞初発で,急性期あるいは遠隔期血行再建成功の男性30例。心筋梗塞後1~7日間,BL-1040 2mLを冠動脈カテーテルにて注入した。

試験結果 最初の10例の患者背景は,平均年齢47歳,治療までの時間は中央値5.5日間。予備データとして最初の5例を解析したところ,3ヵ月後に左室駆出率(LVEF)は47%→49%に増加し,左室拡張期容積(132mL→122mL),左室収縮期容積(67mL→62mL)はともに低下した。さらにProBNP値も著明な低下が認められた(830pg/mL→480pg/mL)。

この予備データからShmuel Tuvia氏は「BL-1040の実行可能性と安全性が示された」と結論づけた。

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