ACC2009では,Late-breaking clinical trialsなどのオーラルセッションのほかにポスターセッションが設けられ,数多くの研究結果が発表された。動物実験から大規模臨床研究のサブ解析まで,その種類は多岐にわたる。ここでは,思わず足を止めてしまった興味深い調査結果について概要を紹介する。
スポーツ観戦したいのなら,心血管リスクのケアを |
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ロサンゼルス市民の心血管死亡率は,スーパーボウルの地元チームの勝敗に影響されていたことがわかった。同市の南カリフォルニア大の調査結果。
1980年1月20日,地元LA RamsはPittsburgh Steelersとの接戦に敗れている。その直後14日間と翌月(1980年のほかに81年,82年,83年も調査)の死亡率を比較すると,循環器系の死亡,虚血性心疾患による死亡,急性心筋梗塞による死亡,全死亡ともに,敗退直後のほうが有意に高かった。一方,地元LA RaidersがWashington Redskinsとの接戦をものにした1984年を同様に調べると,勝利直後のほうが全死亡は有意に低く,その他の心血管疾患による死亡率は低い傾向が読みとれた。
このデータを発表したRobrt A. Kloner氏は,スポーツ観戦とその勝敗による心理的ストレスが原因とみている。「心血管病のリスク因子をもっている人は,スポーツ観戦をする前に医師の診察を受けたほうがよい。高血圧,脂質異常症,糖尿病などはきちんとコントロールすること。禁煙も大事」と述べている。スポーツ観戦にも健康な身体が必要なようだ。