編集部が選ぶ注目トライアル「Hot Line」で取り上げたACTIVE Iに関連して,海外エキスパートからは,「理論的には,ARBは心房細動(AF)に対して,ベネフィットを有することが期待される」とのコメントを得た。
ESC2009の一般演題において,イルベサルタンによるAFへの作用を検討した基礎研究が2件発表されていたが,いずれもAFに対する有用性を示唆したものであった。こうした基礎研究の結果が,どのように臨床的ベネフィットへと結びつくのか,今後の解析を待つ必要がありそうだ。
電気的除細動後24時間の心房細動(AF)患者では,洞調律の健常人と比較して血中単球活性レベル(血清ネオプテリン,MCP-1,ICAM-1)が有意に高くなっていることが示された。それに対して,イルベサルタンによるレニン-アンジオテンシン系の抑制がどのように作用するか,ブタを用いた実験により検討された。
高頻度心房ペーシングを受けたブタでは,シャム処置を受けたブタと比較して,血清ネオプテリン,CD137,ICAM-1の増加度が大きかったが,イルベサルタンを静注したブタでは,ICAM-1およびCD137の増加が有意に抑制されることがわかった。
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Liu氏らは,イヌに14日間,高頻度心房ペーシングを行い,イオンチャネルリモデリングを生じさせた。高頻度ペーシングを行ったイヌでは,シャム処置を受けたイヌと比較してKv4.3 mRNA(一過性外向きK電流[Ito]とパラレルに変動)およびL型Caチャネルα1CサブユニットmRNAが有意に減少していることを確認した。
このイオンチャネルリモデリングを誘発したイヌに対し,エナラプリルを投与すると,Kv4.3 mRNAの増加,Ito密度の増加がみられたが,活動電位持続時間(APD)への作用はみられなかった。一方,イルベサルタンを投与すると,L型Caチャネル電流(ICaL),Itoに対する作用はみられなかったが,APDを延長させることがわかった。また,アンジオテンシン-(1-7)を投与すると,Kv4.3 mRNAの増加,Ito密度の増加,ICaL密度の増加がみられ,さらにAPDの延長が認められた。
Liu氏は「エナラプリル,イルベサルタン,アンジオテンシン-(1-7)は心房のイオンチャネルリモデリングに対し,異なる作用を示し,イルベサルタン,アンジオテンシン-(1-7)がエナラプリルよりも優れていた」と結んだ。
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