Late Breaking Clinical Trials(LBCT)は,最新の臨床試験の結果が発表される注目セッション。26題の応募のなかから,日本人を対象としたものを中心に,厳選された12演題が発表された(PREVENT-SCD, RELIEF, DIANA, MEGA Study, JPAD, J-CRT, SYNTAX, EPO-AMI, JAPAN-ACS, I-PRESERVE, QUEST, COSMOS)。
LBCT Iは20日(金),LBCT IIは22日(日)に行われ,いずれも立ち見が出る盛況となった。
デジタルポスターは,JCS2009の新しい試みの1つである。従来のポスターセッションでは紙を貼り出していたが,デジタルポスターセッションでは,データをディスプレイに映し出して報告する。心エコーの画像を見せるなど動画を用いたプレゼンテーションも可能で,展示するスペースを確保する必要もない。発表を聞き逃した場合でも,会場内の閲覧コーナーのパソコンで会期中いつでも発表データを閲覧できる。
写真:デジタルポスターセッション会場(左上),発表内容が表示されるディスプレイ(右上),
会場内のデータ閲覧コーナー(左下・右下)
「Myアブストラクト」は,数ある学術集会のなかでもはじめての試み。興味のあるセッションだけを選んで申し込めば,その抄録だけを収めた「自分専用の抄録集」を会場で受け取ることができる。必要な部分だけを抜き出したコンパクトな形で製本されるため,紙の節約になるだけでなく,重い抄録集をかかえて広い会場を移動する必要がないなどのメリットがある。
写真:Myアブストラクト(左)。目次も用意される(右)
JCS2009の会期中,3つの市民公開講座が行われた。
3月20日(金)に行われた「楽しく禁煙!プロジェクト」では,禁煙キャラクターの「スワンちゃん」(写真)とともに,市民も禁煙体操に参加して体を動かした。
写真:「たばこを『吸わん』」にかけた禁煙キャラクターのスワンちゃん(左),
禁煙体操をする参加者(右)
3月21日(土)に行われた「だれでもできる心肺蘇生法,簡単だよAED」では,前半の講演で現在の院外心突然死の発生状況,および胸骨圧迫のみの心肺蘇生法と自動体外式除細動器(automated external defibrillator: AED)について説明があった。また,前重壽郎氏(NPO法人大阪ライフサポート協会)は講演のなかで,学校のスポーツテスト中に突然倒れ,17歳で亡くなった自身の子息のことにふれた。一般市民のAED使用が可能になる1ヵ月前,2004年5月のことだった。前重氏は,「AEDがあれば助かっていたのではないか,といまも悔やむ。二本の腕とほんのすこしの知識,そして一歩踏み出す勇気さえあれば,救える命があることを知ってほしい」と参加者に語りかけた。そののち,参加者1人1人に心肺蘇生練習キット(写真)が配られ,胸骨圧迫のみの心肺蘇生,およびAEDの使い方を学ぶ簡易講習が行われた。
写真:当日配布され,講習に用いられた心肺蘇生練習用キット。
人形の名前はミニアン(MiniAnne)
日本循環器学会は,診療の指針となるガイドラインを多く発行しており,その数は40を超える。実臨床で参照されることも多いが,限られた時間のなかで1人1人の医師がガイドラインを読み込み,精通することは難しいのが実情だ。そこでJCS2009では,ガイドラインのさらなる理解を目指して「ガイドラインに学ぶ」,「ガイドライン解説」の両セッションを設けた。
その1つ,「ガイドラインに学ぶ: 心疾患患者の学校,職域,スポーツにおける運動許容条件に関するガイドライン」のセッションが3/20(金)に行われた。演者の長嶋正實氏(あいち小児保健医療総合センター)は,ガイドラインの概要および主要なポイントを,具体例も織り交ぜながら解説。たとえば,心疾患をもつ児童や生徒のスポーツについては,サッカーやハンドボールで選手としての参加が難しくても,ゴールキーパーとしてなら可能な場合があると紹介した。また,ガイドラインに法的な拘束力はないが,基本方針と異なる治療を行う際にはその理由をきちんと説明できるほうがよいとした。
口頭でのこうした解説はわかりやすいと毎回好評で,このセッションでも熱心な参加者が会場を埋めつくし,立ち見も多く出た。
会場では21のガイドラインのダイジェスト版を収載した冊子が配布された(写真)。