ASSERT | ApoA-I Synthesis Stimulation Evaluation in Patients Requiring Treatment for Coronary Artery Disease |
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Comment: | Dr. Eliot Brinton | ASSERT: 動脈硬化症予防にむけた新たなアプローチ |
試験背景/目的 LDL-C低下療法は心血管病リスクを低減させることが示されてきた。しかし,LDL-C低下療法のみでは限界があり,LDL-C以外からのアプローチが模索されてきた。その一つとして注目されているのが,HDL-C上昇によるイベント抑制効果である。これまでの研究によると,HDL-Cは,ApoA-1合成とともに増加する。本研究では,スタチン投与中の安定冠動脈疾患患者を対象に,ApoA-1合成促進薬RVX-208(経口)の安全性と忍容性を検証する。
一次エンドポイントはApoA-1のベースラインからの変化。
11月17日のLate-Breaking Clinical Trialsにおいて,Stephen J. Nicholls(Cleveland Clinic)がこの試験を発表した。
試験プロトコール ASSERT試験は,米国の35施設が参加。対象は,スタチン治療中の安定冠動脈疾患患者299例。
2週間のスクリーニング後,RVX-208 100mg群(76例,50mgを1日2回),RVX-208 200mg群(75例,100mgを1日2回),RVX-208 300mg群(74例,150mgを1日2回),プラセボ群(74例)に割付し,12週間投与し,その後4週間追跡。
試験結果 患者背景は,平均年齢65.8歳,男性75.3%,白人93.3%,BMI 30.7,高血圧87.6%,糖尿病29.4%,喫煙17.1%,総コレステロール150mg/dL,LDL-C 76mg/dL,HDL-C 44mg/dL,トリグリセライド115mg/dL,ApoA-1 141mg/dL,高感度C反応性蛋白(hsCRT)1.8mg/L。
一次エンドポイントは,プラセボ群で+0.9%,100mg群で+0.1%(P=0.09 vsプラセボ),200mg群で+3.8%(P=0.10 vsプラセボ),300mg群で+6.6%(P=0.06 vsプラセボ)であった(P for trend=0.035)。
生化学マーカーの%変化は,HDL-Cはプラセボ群で±0%,100mg群で+3.2%,200mg群で+6.3%,300mg群で+8.3%(P for trend=0.02),LDL-Cはそれぞれ+4.2%,+0.7%,+1.6%,+1.0%(P for trend=0.79),トリグリセライドはそれぞれ+1.6%,+2.2%,+4.5%,+6.5%(P for trend=0.85),apoβはそれぞれ−3.8%,−6.6%,−6.7%,−2.0%(P for trend=0.45),hsCRPはそれぞれ+2.5%,+13.0%,+17.5%,+22.0%(P for trend=0.33)。
また,Large HDLの%変化はそれぞれ−0.5%,+11.1%,+20.2%,+21.1%(P for trend=0.003)であった。
一次エンドポイントについてはプラセボとの有意差は認められなかったものの,RVX-208は用量依存的にApoA-1,HDL-C,Large HDLを増加させることが示された。
安全性については,ALT/ASTがULNの3倍超(>3×ULN)となった患者はそれぞれ0例,3例,8例,7例(P for trend=0.009),8倍超(>8×ULN)は0例,2例,4例,2例(P for trend=0.28),総ビリルビンが2倍超(>2×ULN)となった患者は全群とも0例,クレアチニンキナーゼが3倍超(>3×ULN)となった患者は4例,1例,0例,3例(P for trend=0.10),クレアチニンがベースラインの1.5倍超となった患者は0例,0例,3例,3例(P for trend=0.07)。
発表者であるNicholls氏は,「RVX-208は用量依存性にApoA-1合成を促進し,これによって機能を有するHDL粒子への変換が促されることが示された。経時的な変化をみると,長期間の投与を行えばより好ましい結果が得られるものと期待されるが,心血管イベントなどに対する有用性についてはさらなる検討が必要だ」と結論付けた。