PARTNER | Placement of Aortic Transcatheter Valves |
---|
‣エキスパートインタビューを読む: | 画期的な結果,今後さらなる予後の改善も |
今後10年間で外科手術は必要なくなる |
重症大動脈弁狭窄患者において経カテーテル大動脈弁置換術(TAVI)は開胸大動脈弁置換術(AVR)に対し非劣性であることが,PARTNER試験の結果によって示された。
PARTNER試験は,コホートA(手術高リスク患者)とコホートB(手術が不可能な患者)の2つで構成。今回のコホートAでの検討では,患者をTAVI群とAVR群に割り付け,1年後の全死亡(一次エンドポイント)や,脳卒中,大血管合併症,大出血,不整脈などの発生率を比較。脳卒中と大血管合併症の発生率はTAVI群で高かったものの,大出血や不整脈は少なく,一次エンドポイントについては両群間で有意差はなかった。発表者のSmith氏は,「TAVIはすでに手術不適応患者での標準療法となっているが,この結果により,外科手術高リスク患者に対するAVRの代替療法にもなることが明らかになった」と結論づけた。
なお,PARTNER試験のコホートBでは,TAVIは外科手術以外の標準療法にくらべ,1年後までの死亡率を有意に低下させることが2010年に報告されている。今回のLBCT IではコホートBにおけるコスト分析の結果も報告された。TAVI群における入院コストは,医師の診察料を含め78,540ドル,フォローアップにかかったコストは1年間で29,352ドルであった。一方,対照群では,1年間のフォローアップに52,724ドルを要した。
TAVIにより1.9年間の生存期間が得られ,増分費用対効果(ICER)は50,200ドル/生存年数と算出された。この結果を発表したMatthew R. Reynolds氏は,「TAVIによる増分費用は,一般的な心血管治療技術の費用として許容される範囲に収まる」と述べている。