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[学会情報]米国心臓病学会(ACC)学術集会2011
(2011年4月3日~5日 in ニューオーリンズ)
編集部が選ぶ注目トライアル
Late-Breaking Clinical Trials II
<Late-Breaking Clinical Trials II>
STICH Viability Surgical Treatment for Ischemic Heart Failure Trial
心筋バイアビリティは,CABGによる生存のベネフィットに関連せず:STICH Viabilityの結果
エキスパートインタビューを読む: 虚血性心不全患者はCABGを受けるべき
CABGは虚血性心不全にも有効,ただし代償も伴う

STICH試験の前向きサブスタディであるSTICH Viability試験の結果から,虚血性心不全患者において,心筋バイアビリティは,薬物療法に比したCABG+薬物療法による生存のベネフィットに対し,有意な相互作用を及ぼさないことが示された。

STICH試験(本試験)の対象者は,左室駆出率≦35%かつCABGに適した冠動脈疾患を有する患者で,このうち,心筋SPECTまたはドブタミン負荷心エコーにより心筋バイアビリティに関する判定(あり/なし)が可能であった601例がSTICH Viability試験(サブスタディ)の対象となった。

一次エンドポイントである全死亡リスクは,心筋バイアビリティのある例で,ない例に比して有意に低かった(ハザード比[HR]0.64,95%信頼区間[CI]0.48~0.86,P=0.003)。二次エンドポイントである心血管死亡,および全死亡+心血管疾患による入院のいずれについても,心筋バイアビリティのある例で,ない例に比した有意なリスク低下が認められた。さらに,心筋バイアビリティの有無ごとにCABG+薬物療法群と薬物療法群の全死亡リスクを比較した結果,心筋バイアビリティにかかわらず,両群に有意差はみられなかった。発表者のRobert O. Bonow氏は,「心筋バイアビリティの評価を行っても,CABGによる生存のベネフィットが大きい患者を鑑別することはできない」とまとめた。

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