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[学会情報]米国心臓病学会(ACC)学術集会2011
(2011年4月3日~5日 in ニューオーリンズ)
編集部が選ぶ注目トライアル
Late-Breaking Clinical Trials IV
<Late-Breaking Clinical Trials IV>
OSCAR Effect of High-dose Angiotensin II Receptor Blocker (ARB) Monotherapy versus ARB plus Calcium Channel Blocker Combination on Cardiovascular Events in Japanese Elderly High-risk Hypertensive Patients
高用量ARBとARB+Ca拮抗薬の心血管疾患予防効果に差は示されず:OSCARの結果
エキスパートインタビューを読む: 既存のエビデンスと一致する結果

日本人の高齢ハイリスク高血圧に対し,高用量ARB単独とARB+Ca拮抗薬併用とでは,心血管イベントの抑制効果に差が無いことが,OSCARの結果で示された。血圧は併用群のほうがやや低下し,心血管疾患(CVD)既往のサブグループでは併用療法のほうが優れていることがわかった。

心不全や糖尿病に対するARBの有用性はすでに知られており,また,高用量を用いたほうがそのベネフィットが得られることが明らかにされている。OSCAR試験は,高齢(65~84歳)のハイリスク高血圧患者で高用量ARB単独(オルメサルタン)の有用性を検証するため,低用量ARB+Ca拮抗薬(アムロジピンまたはアゼルニジピン)併用と比較した場合の心血管イベント抑制効果を検討した試験である。

対象となった1,164例のうち約70%がCVD既往,約54%が糖尿病を合併しており,ベースライン時の血圧は高用量ARB単独群158.2/85.2mmHg,併用群157.2/84.6mmHg。36ヵ月後の血圧はそれぞれ136/74.6mmHg,133.4/73.1mmHgであり,併用群のほうが有意に低かった。

一次エンドポイントである致死性/非致死性心血管イベント+非心血管死の複合の発生率に有意な群間差なし(58例vs 48例,ハザード比[HR]1.31,95%信頼区間[CI]0.89~1.92,P=0.1717)。心不全や糖尿病合併症,腎機能傷害などを含め,二次エンドポイントにも有意な群間差は認められなかった。ただし,CVD既往のサブグループでは,高用量ARB単独群より併用群のほうが一次エンドポイント発生率が有意に低いことが示されている(HR 1.63,95%CI 1.06~2.52,P=0.0261)。2型糖尿病のサブグループ(その他の併存疾患なし)では,有意な群間差はなかった。発表者の小川久雄氏は,「高用量ARBは併用より降圧作用が弱かったにも関わらず,心血管イベント+非心血管死の発生率に有意差がなかった。今後の検討が必要である」と述べている。

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