ニューオーリンズにて開催中のACC 2011のLBCTにて,4月4日,新規冠動脈病変に対するPCIについてのトライアル,PLATINUM試験とRESOLUTE-US試験が発表となった。いずれも新規ステントの従来型ステントに対する非劣性が示されている。ステントの技術革新はどこまで進むのか。Saint Joseph's Health SystemのSpencr B. King III氏に感想を聞いた。
ステント治療はこの10年で大きな改良が加わり,われわれはすでに,かなり優れたステントを手にすることができるようになりました。ステントの技術革新はさらに進みつつあり,今なおさまざまな検討が行われています。
ステントの問題の一つは,ステント留置後の再狭窄です。再狭窄を回避するため,ステント設計や薬剤コーティングの方法を工夫する試みがなされています。PLATINUM試験では,新規冠動脈病変における,コバルト合金エベロリムス溶出ステント(CoCr-EES)に対するプラチナ合金エベロリムス溶出ステント(PtCr-EES)の非劣性が示されました。このPtCr-EESは,薬剤の溶出が従来よりも長く持続されるという特徴があります。そのため,血管内皮細胞の増殖が抑えられ,再狭窄が予防されたと考えられます。
ステント血栓症も,ステント留置後にみられる問題の一つです。ステントに用いられるポリマーは炎症反応を引き起こす一因ですが,ポリマーを微調整したり,あるいはポリマーをまったく使用しないステントについての検討が行われています。RESOLUTE-US試験では,生分解性ポリマーを使用したResoluteゾタロリムス溶出ステントが検討され,同一のプラットフォームと薬剤を使用したEndeavorゾタロリムス溶出ステントに対する非劣性が示されました。さらに,この試験ではステント血栓症の発生が非常に少ないことも明らかになりました。こうした観点から,生分解性ポリマーはステント血栓症に有効であると考えられ,期待されています。