ALPHEE試験では,celivaroneの3用量がアミオダロン標準用量あるいはプラセボと比較されましたが,celivaroneの有用性は示されませんでした。たいへん残念な結果だったと思います。傾向としては,celivaroneはアミオダロンよりも有用でない可能性も示唆されています。
米国では,多くの医師がアミオダロンを数年以上投与し続けることをためらいます。最大の理由は肺毒性への懸念であり,ほかにも,皮膚や甲状腺に対する副作用も心配されています。このため,アミオダロンは低用量で投与され,突然死抑制効果を有するβ遮断薬を併用するという治療が積極的に行われています。しかし,それだけでは問題は解決されません。ですから,アミオダロンに代わる新薬の開発を今後も継続することが強く望まれます。
ICD植え込み患者の生存期間は,近年とくに長くなりました。このような患者に対する治療法は,循環器領域でももっとも発展してきたといえるでしょう。もちろん人口の高齢化も関係していますが,急性冠症候群への治療の発展,心筋梗塞後の生存率の向上が,生存期間の延長に強く寄与したと思います。強い心筋障害を伴う心臓発作を起こした患者でさえも,24時間以内に亡くなることは少なくなりました。ただ,それを反映して,米国では心不全患者が増加しています。心不全への対応は,緊急の課題となっています。