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[学会情報]米国心臓協会(AHA)学術集会2011
(2011年11月12日~16日 in オーランド)
編集部が選ぶ注目トライアル
<Late-Breaking Clinical Trials 4>
AIM-HIGH Atherothrombosis Intervention in Metabolic Syndrome with Low HDL/High Triglycerides and Impact on Global Health Outcomes
ナイアシン追加投与は心血管疾患患者の血管イベントを抑制せず
エキスパートインタビューを読む: ナイアシンを否定してはならない

William E. Boden氏
William E. Boden氏

スタチン(シンバスタチン)で治療中の心血管疾患患者を対象としたAIM-HIGH試験(第III相試験)にて,徐放性ナイアシンを上乗せした際の有効性を検討した結果,ナイアシンはプラセボに比べ心血管イベントの発生を抑制しなかった。

対象は,45歳以上の冠動脈心疾患(CHD),脳血管疾患,または末梢動脈疾患を有する患者で,HDL-C<40mg/dL(男性)または<50mg/dL(女性),トリグリセリド150~400mg/dL,LDL-C<180mg/dLの症例。4~8週のrun-in期間(ナイアシン500~2000mg/日の範囲で増量)後に,ナイアシン(500~2000mg/日)群1718例,プラセボ群1696例にランダムに割り付けられた。両群ともにシンバスタチンはLDL-C 40~80mg/dLを維持するように40~80mg/dL,必要であればエゼチミブ10mg/日が投与され,3年間追跡された。

試験期間中のHDL-Cの推移は,1年後にはナイアシン群はプラセボ群に比べ有意に高くなり,その差は2年後,3年後も維持された(すべてP<0.001)。また,トリグリセリド,LDL-Cは1年後にナイアシン群で有意に低くなり,その差は3年後まで維持された(すべてP<0.001)。

一次エンドポイント(CHD死+非致死性心筋梗塞+脳梗塞+急性冠症候群による入院+血行再建術)発生率は,両群間に有意差はみられなかった(ナイアシン群282例 vs プラセボ群274例,ハザード比[HR]1.02;95%信頼区間[CI]0.87~1.21,P=0.80)。二次エンドポイント(CHD死+非致死性心筋梗塞+脳梗塞+ハイリスク急性冠症候群による入院)発生率も同様に両群間に有意差はみられなかった(171例 vs 158例,HR 1.08;95%CI 0.87~1.34,P=0.49)。

発表者であるBoden氏は,この結果により脂質低下療法の主要目的はLDL-Cであることがあらためて示されたとしたうえで,「本試験においてナイアシンの有用性が得られた症例のサブセットが存在したかを分析する必要がある」と述べた。同試験は安全モニタリング委員会の勧告により予定より早期に終了している。


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http://therres.jp/1conferences/2011/ESC2011/20111020152754.php


発表スライド等はこちらでご覧いただけます。
http://my.americanheart.org/professional/Sessions/ScientificSessions/ScienceNews/SS11-Late-Breaking-Clinical-Trials_UCM_432888_Article.jsp

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