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[学会情報]サンアントニオ乳癌シンポジウム(SABCS)2011
(2011年12月6日~10日 in サンアントニオ)
編集部が選ぶ注目演題
<General Session>
A Quantitative Multigene RT-PCR Assay for Predicting Recurrence Risk after Surgical Excision Alone without Irradiation for Ductal Carcinoma In Situ (DCIS): A Prospective Validation Study of the DCIS Score from ECOG E5194.
非浸潤性乳管癌(DCIS)患者の再発リスクを予測する新しい検査

非浸潤性乳管癌(DCIS)患者の局所再発リスクを予測する,複数遺伝子検査(Oncotype DX)のプロスペクティブな検証結果が報告された。このシステムの導入により,再発リスクが低い患者を同定し,不要な放射線治療を避けることが可能になるという。

Oncotype DXは,乳癌における21種の遺伝子発現レベルを計測し,DCISスコアにより個々の患者の再発リスクを「低リスク」,「中間リスク」,「高リスク」の3つに分類,再発の可能性と治療の妥当性を検討する検査である。今回はECOG E5194試験の腫瘍サンプル327例を用いて,DCISスコアと同側乳癌イベント(IBE)との相関についての検証が行われた(追跡期間中央値:8.8年)。その結果,46例でIBEが発現,タモキシフェン使用などで補正したところ,DCISスコアとIBEとの間に有為な相関が認められ(ハザード比[HR]2.34/50 unit,95%信頼区間[CI]1.15~4.59,P=0.02),従来の腫瘍サイズやgradeなどの計測手段を超える価値が見出された。

これまでに行われた多くの研究から,現在行われている病理診断は,再発リスクを予測するマーカーとしての信頼性に欠くという結果が示されている。発表者であるEinstein Medical CenterのLawrence J. Solin氏は,「DCISスコアにより,再発リスクが高い患者と低い患者の同定に成功した」と述べ,「これはDCISの治療における大きな進歩であり,リスクの予測に基づき,患者に対して不要な放射線治療を避けるなど,個別化治療を提供することが可能になる」と結んだ。


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