ALTITUDE | ALiskiren Trial In Type 2 Diabetes Using cardio-renal Endpoints |
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Hans-Henrik Parving氏 |
試験背景/目的 2型糖尿病患者では心血管イベントおよび腎イベントの発症リスクが高いことが知られている。ARBが同患者集団の血清クレアチニン値上昇を抑制し,末期腎不全(ESRD)への進展リスクを低下させることは報告されているが,心血管イベント発生率や死亡率を低下させる十分なデータは示されていない。そこで,心腎イベント発症リスクの高い2型糖尿病患者に新規RA系抑制薬アリスキレンを追加投与した場合に,心腎イベントの発症を遅らせることができるかどうかについて検討するALTITUDE試験が実施された。
同試験は2007年から開始され2013年2月に終了予定だったが,中間解析の結果,アリスキレン追加投与により副作用発生率が高まる傾向が認められたため,独立データモニタリング委員会の勧告により2011年12月に早期中止となった。
Executive Committeeの一員であるHans-Henrik Parving氏(University of Copenhagen, デンマーク)より,Hot Line Session初日となる26日に解析結果が発表された。
試験プロトコール 対象者は2型糖尿病を有し,かつ下記の条件を一つ以上みたす患者。
・尿蛋白
・微量アルブミン尿かつ腎機能低下
・心血管イベントの既往かつ腎機能低下
登録後,4~12週間の観察期間を経たのちに,ACE阻害薬,ARBを含む(ただし両剤の併用は認めない)従来療法を継続したまま,アリスキレン300mg/日追加群(投与開始後4週間は150mg/日)またはプラセボ追加群にランダムに割付けられた。それぞれ4年間投与・追跡する予定であった。
試験結果 解析対象となったのは36ヵ国から登録された8,561例。平均年齢は約65歳で,男性が約7割。白人が57%ともっとも多く,アジア人は32%。BMIは平均30kg/m²。
対象者のベースライン時における平均血圧は137/74mmHgで,全対象者がACE阻害薬またはARBを服用していた。HbA1cは平均7.8%。推算糸球体濾過量は平均57mL/分/1.73m²,尿中アルブミン/クレアチニン比は平均200mg/g程度であった。
複合一次エンドポイント(心血管死,突然死からの蘇生,非致死性心筋梗塞,非致死性脳卒中,心不全による入院,末期腎不全または腎死,血清クレアチニン値倍加)の発生率は,アリスキレン追加群で17.9%,プラセボ群で16.8%となり,両群間に有意差はみられなかった(ハザード比1.08[95%信頼区間0.98~1.02],P=0.14)。いずれの二次エンドポイント(心血管イベント,腎イベント)においてもアリスキレン追加によるベネフィットは認められなかった。エンドポイントを個別にみると,有意差はないものの,脳卒中(3.4% vs 2.8%,P=0.070),突然死からの蘇生(0.4% vs 0.2%,P=0.053)はアリスキレン追加群で多い傾向がみられた。
有害事象については高カリウム血症(38.7% vs 28.6%),低血圧(12.1% vs 8.0%),下痢(9.6% vs 7.2%)などがアリスキレン追加群で多く報告された。高カリウム血症についてParving氏は,透析に至った例はなかったことを強調。さらに血清カリウム値6mmol/L以上の発現率は8.8%vs 5.6%であったと説明を加えた。
今回の発表はプレリミナリーな結果であることをことわったうえで,「心腎イベント発生リスクの高い糖尿病患者において,ACE阻害薬またはARBを含む従来療法へのアリスキレンの追加投与はベネフィットをもたらさず,いくつかの事象について負の作用を及ぼす傾向が認められた」と結んだ。