ANTHEM HF | Autonomic Neural Regulation Therapy to Enhance Myocardial Function in Heart Failure |
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てんかん患者では左側迷走神経刺激治療が確立しているが,心不全患者では左右差についてこれまでに評価されていない。ANTHEM-HF試験は迷走神経刺激デバイス植え込みの実現性および忍容性について左右植え込みによる差を比較し,安全性および有効性を測定した初めての試験である。Hot Line Ⅲで治験責任者のInder Anand氏(University of Minnesota Medical School,ミネアポリス,米国)が結果を発表した(同日J Card Fail誌に掲載)。
対象は左室駆出率が低下し薬物療法を受けている心不全患者60名で,31例が左側,29例が右側に迷走神経刺激デバイスを植え込んだ。10週にわたり刺激を漸増し,もっとも忍容性のある強度(2.0[±0.6]mA,10Hz)で6ヵ月間刺激を継続した。
その結果,左室駆出率は平均4.5%改善。左右差は認められなかった。左室収縮末期容積の有意な改善はみられなかった。6分間歩行検査も平均56m改善したが,こちらは右側植込み(平均77m改善)にくらべて左側植込みの改善(33m改善)は有意に少なかった。
Minnesota Living with Heart Failure Questionnaire scoreによる生活の質(QOL)評価は左右差なく,平均18ポイントの有意な改善が認められた。
有害事象発生率も,試験期間中に消失した一過性の軽度発声障害(変声),咳,口腔咽頭痛を含め,両群同等だったが,頸動脈狭窄のあった一例がデバイス植え込み中に脳梗塞を発症し3日後に死亡した。「迷走神経の切開中に総頸動脈を触診することでプラークの破綻や塞栓遊離が起こり得る。重症閉塞性頸動脈疾患患者で触診を回避すれば,この症例のような事態は防げるだろう」とAnanda氏は述べた。