Therapeutic Research は,医学・薬学の最新情報を提供する総合月刊誌です。国内外の最新エビデンス情報やオピニオン,各種シンポジウムの記録等を掲載しています。
今月号のトピック
● Symposium
第62回日本心臓病学会学術集会ランチョンセミナー
「ハイリスク高血圧に対するβ遮断薬の選択」
座長 | 菊池健次郎(北海道循環器病院) |
演者 | 伊藤 浩(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 生体制御学講座 循環器内科学 ) |
2014年9月に仙台で開催された日本心臓病学会学術集会では,「ハイリスク高血圧に対するβ遮断薬の選択」をテーマとしたランチョンセミナーが行われ,岡山大学の伊藤浩氏によりβ遮断薬の位置付けの変遷や新たな研究成果が幅広く解説されました。
β遮断薬はこれまで,糖尿病や慢性閉塞性肺疾患に対しては禁忌とされてきましたが,最近の研究によりこれらの病態にも有効であることが示されました。しかし,伊藤氏は,こうした知見がいまだ十分に認知されておらず,欧米に比べて日本では使用頻度が非常に低いと指摘し,理解を深めることが重要と提言しました。また,周術期には心筋梗塞や心房細動が発症しやすく,それが予後に悪影響を与えるというエビデンスが紹介され,手術を安全に行うにはβ遮断薬を適切に使用することが必要であり,周術期には経口剤よりも貼付剤のほうが有用であるとの期待が示されました。
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