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[トピックス] 
新規透析患者数が減少に転じる
—早期発見,治療法の普及が奏効,今後の課題は高齢者対策

日本慢性腎臓病対策協議会は6月18日の日本透析医学会学術集会において,日本の新規透析患者数が2008年の38,180例をピークに減少に転じていたことを発表した。2009年は−614例,2010年は−34例(いずれも前年差)と2年連続の減少となり,今後も減少傾向が続くとみられている。これについて7月1日,同協議会による記者会見が行われた。

近年増加していた糖尿病性腎症が減少

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秋澤忠男氏
日本における透析患者の主要な原疾患は,慢性糸球体腎炎,糖尿病性腎症,腎硬化症の3つ。かつて半数以上を占めていた慢性糸球体腎炎は,検尿による早期発見のシステム確立により,1999年をピークに年々減少している。入れ替わるように近々増加してきたのが糖尿病性腎症で,1983年には15.6%だったが2009年には44.5%まで増加。しかし2010年は43.5%と初めて減少に転じた(年別透析導入患者の主要原疾患の推移,社団法人日本透析医学会)。
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今井圓裕氏
日本透析学会理事長の秋澤忠男氏は,慢性糸球体腎炎に加えて糖尿病性腎症も減少に転じたことによって,透析導入患者数が減少したのではないかと述べた。 また,糖尿病性腎症の減少理由について秋澤氏は,治療法の進歩とその普及,一般化によるものと推察。日本慢性腎臓病対策協議会事務局長の今井圓裕氏は,糖尿病性腎症から透析への進行が世界的には既に減少傾向にあったことを紹介し,日本でもようやく減少に転じたとの見解を述べた。原疾患の第3位である腎硬化症は,高血圧や動脈硬化が原因となり発症する。現在も増加の一途をたどっており,高齢化に伴い今後も増加傾向が続くと予測される。

2010年に日本人小児のクレアチニン正常値を設定

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本多雅敬氏
小児の慢性腎臓病(CKD)については,1973年に学校保健法により健康診断に尿検査が導入され,78年以降毎年実施されるようになった結果,小児の腎不全は激減し,現在の日本の小児の慢性腎不全患者の頻度は世界でも極めて低くなっている。 さらに,小児糖尿病学会は2010年に日本人小児のクレアチニン正常値を設定し,成人とは異なる小児の腎機能異常の定義を明らかにした(12歳未満(男女合計)小児血清クレアチニン基準値12歳以上17歳未 満(男女別)小児血清クレアチニン基準値,いずれも日本小児腎臓病学会)。また,2011年には小児CKDの原疾患とその頻度について疫学調査を実施し,全体の62%を先天性腎尿路奇形が占めること,糸球体性疾患は全体の10%未満であることを報告した。小児糖尿病学会理事長の本多雅敬氏は,今後は専門医と診療所の連携を強化することで,さらなる減少を目指していきたいと述べた。また,日本医師会の石川広己常任理事長は,小・中学校以降~成人検診までの空白をきちんと把握することがCKD対策に有効であり,課題であると述べた。

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