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[トピックス] 
CKD診療ガイド改訂内容ほぼ固まる
—6月の第55回日本腎臓学会学術総会までに発刊予定。

毎年3月の第2木曜日は「世界腎臓デー」として各国でCKD対策キャンペーンが行われている。日本慢性腎臓病対策協議会(J-CKDI)も,2007年から毎年3月の第1日曜日に啓発イベント講演会を開催している。今年も3月4日(日)に東京にて6回目の慢性腎臓病(CKD)啓発イベント講演会「ストップ・ザ・腎不全」が開催された。

講演のなかで,現在改訂準備が進められている「CKD診療ガイド2012」の詳細について,初めて発表された。同ガイドラインは2007年に発刊され,2009年に一度改訂が行われている。

CKD病期ステージの改訂

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井関邦敏氏

おもな改訂点は2つ。ひとつは,Kidney Disease Improving Global Outcomes(KDIGO)によるCKD分類の改訂(2009年)を反映した新しいCKDの病期ステージ分類である。現行のガイドラインではGFR(<15,15~29,30~59,60~89,≧90mL/分/1.73m²)で病期ステージが5分類されているが,新しい分類ではGFRは6分類となる(30〜59 mL/分/1.73m²が「30~44」と「45~59」に分割される)。この分割案は,KDIGOよりも先に日本で推進されていたもので,演者の井関邦敏氏(琉球大学医学部附属病院)は,「30~59mL/分/1.73m²はかなり広範で,多くの高齢者が同ステージに含まれてしまうため分ける必要があった」と述べた。新しいCKD分類は縦軸にこのGFRステージ,横軸に蛋白尿ステージ(3分類)を配置したマトリックスで示され,予後をより正確に評価できる分類になるという。また,井関氏は「血尿がCKDの予測因子となることが報告されており,血尿についての検討が次の課題となるだろう」と述べた。

シスタチンCによる糸球体濾過量(GFR)推算式

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深尾 勝氏

もうひとつは,シスタチンCに基づく糸球体濾過量(GFR)推算式についての言及である。現行のガイドラインに記載されている血清クレアチンによるGFR推算式は,実測GFRとの相関はよいものの,長期臥床例など筋肉量の減少した症例では高めに,健常者では低めに推算されるという問題点がある。これを是正する新たなGFRマーカーとして血清シスタチンCに期待が寄せられていた。近年,国際的な標準物質が作られ,標準化した方法での測定が可能となったため,日本人のデータを用いて推算式が作成された。

【シスタチンCによるGFR推算式】
男性:GFR(mL/分/1.73m²)=(104×シスタチンC-1.019×0.996年齢)−8
女性:GFR(mL/分/1.73m²)=(104×シスタチンC-1.019×0.996年齢×0.929)−8

演者の深尾 勝氏(大阪大学)は,「コストの面から対象は限定されることが予想されるが,ガイドラインでは長期臥床例など筋肉量の減少した症例では血清シスタチンCによるGFRの推算について言及される予定である」と述べた。

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