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[トピックス] 
新規経口抗凝固薬リバーロキサバン,市販直後調査結果発表

バイエル薬品株式会社は2012年12月20日,同年4月に販売が開始された新規経口抗凝固薬,第Xa因子阻害薬リバーロキサバン(商品名:イグザレルト)の市販直後調査,特定使用成績調査の結果を発表した。市販直後調査については,国立病院機構九州医療センターの矢坂正弘氏が,特定使用成績調査については,帝京大学医学部附属溝口病院の村川裕二氏がそれぞれ講演を行った。具体的な症例概要など,詳細な調査結果については,同社製品情報ページ「Xarelto.jp」内に「市販直後調査 終了報告」として情報が提供されている。ここでは「市販直後調査 終了報告」の内容と当日の講演内容をあわせて紹介する。

6ヵ月での死亡例9例,出血関連副作用161件を報告

矢坂正弘氏

「市販直後調査 終了報告」によると,調査期間6ヵ月間での推定投与患者数は約2万人。250例300件の副作用が報告され,うち死亡は9例,出血関連副作用は150例161件(重篤な出血は80例84件)であった。
死亡例のうち4例は脳出血によるもので,うち2例は血圧の管理が不十分であるとされた。また重篤な出血事象のうち3例(胃腸出血,皮下出血,上部消化管出血)は,減量投与(10mg/日投与)の基準であるクレアチニンクリアランス(CrCl)50mL/分未満であったにもかかわらず,15mg/日が投与されていた。

これらの結果より同社は,改めて血圧管理や腎機能評価の重要性について強調するとともに,引き続き適正使用のための情報提供を積極的に行っていくことを示した。また,重篤な出血事象の約75%が投与開始後1ヵ月以内に発生していることから,他の抗凝固薬と同様,投与開始早期の観察が重要であるとした。矢坂氏は「当センターでは,抗凝固薬投与を考慮する心房細動患者での目標血圧として130/80mmHg未満を目安としています」と改めて血圧管理の重要性を訴えた。

出血関連副作用の出血部位の内訳は以下のとおり。消化管55件(うち重篤32件),泌尿器30件(3件),皮膚または皮下28件(17件),呼吸器13件(3件),その他36件(13件)。

患者背景,CrCl 50mL/分未満の患者2割超,CHADS2スコア0~1点の患者3割超

村川裕二氏

同日,特定使用成績調査の患者背景の発表も行われ,2012年10月31日現在の登録患者2156例のうち,男性は全体の57%,年齢は平均74歳,体重60kg,CrClが65mL/分であった。
CrClについては,30~<50mL/分が23.7%(510例)であったほか,15~<30mL/分が2.0%(44例)と,比較的腎機能が低く,本剤が減量投与,慎重投与となる患者にも投与されていた(30~<50mL/分:減量投与,15~<30mL/分:慎重投与)。未測定も15.5%(334例)含まれた。

また,心房細動患者における脳卒中発症リスクを表す指標であるCHADS2スコアについては,34.1%(735例)が,リスクが比較的低いとされるCHADS2スコア0~1点の患者であった。[2点:30.8%(665例),3点以上:35.1%(756例)]。これについて村川氏は「0~1点の人でも血栓症発症リスクが高い症例が含まれることが近年明らかにされたことを受けた結果ではないか」と話した。

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