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[INFORMATION] エンドオブライフ・ケア協会 設立2周年シンポジウム
2017年4月22日(土)・東京
ここからはじまるエンドオブライフ・ケア
~超高齢少子化多死時代における“つながり”を考える~

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全体会会場風景 

 一般社団法人エンドオブライフ・ケア協会は,超高齢少子化多死時代において,人生の最終段階を迎える人の「生きていてよかった」と思える援助を,一部のエキスパートだけではなく,その家族,関係者,だれもが行えるように,その普及をめざして2015年4月21日に設立された(https://endoflifecare.or.jp/)。その後2年が経過し,4月22日に設立2周年シンポジウム「ここからはじまるエンドオブライフ・ケア~超高齢少子化多死時代における“つながり”を考える~」が開催された。

 エンドオブライフ・ケア協会設立記念シンポジウムは2025年問題をテーマに,今回は“つながり”をキーワードにして構成された。プログラムは,活動報告(小澤竹俊氏 同協会理事・めぐみ在宅クリニック院長,本昌子氏 株式会社NTTドコモ人事部)のほか,講演①小野沢滋氏(同協会理事・みその生活支援クリニック院長)による『急性期病院とどうつきあうか データで見る急性期病院』,講演② 西川満則氏(同協会相談役・国立研究開発法人国立長寿医療研究センター医師)による『地域でつなぐその人の選択と心構え~地域におけるアドバンス・ケア・プランニングの進め方~』,対談:死別後のつながり~死の前後をつなぐものとは~(戸松義晴氏 増上寺塔頭・心光院住職,金子稚子氏 ライフ・ターミナル・ネットワーク代表)および全体会であった。長尾和宏氏(同協会理事・長尾クリニック院長)が,総合司会を務めた。

 小澤竹俊氏の活動報告によれば,2015年7月~2017年4月に合計27回のエンドオブライフ・ケア援助者養成基礎講座を催し,受講生はのべ1500人を数え,援助士として232人が認定された。地元で学習会を開催できる認定ELC(End-of-Life Care)ファシリテーターは37人となり,全国7か所で定期的な学習会が行われている。2016年度には横須賀市・横須賀市医師会からの委託を受けた同講座が開かれ,その後,定期的な開催へと進展した。2017年には,エンドオブライフ・ケア援助者養成基礎講座の学習効果について,教育専門家による第三者の評価が報告される予定である。

 同協会の設立趣旨は順調に達成され,新たな“つながり”へと発展した。同協会は社会的課題の解決に取り組む団体として認知され,その支援組織から協力が得られた。まず,社会的課題の認知度向上の手段として,株式会社電通の有志の手でポスターが作成された。そして,オフィシャルパートナーとして,株式会社NTTドコモ,株式会社NTTドコモ・ベンチャーズ, 特定非営利活動法人ETIC.の主催する社会起業塾イニシアティブからの協力が得られた。2016年支援対象起業家として,ドコモ・イノベーションビレッジ「Villageソーシャル・アントレプレナー」から同協会事務局の千田恵子氏が選ばれている。

 同協会が取り組む社会的課題の解決のため,医療・介護の専門職の育成に加えて,人生の最終段階を迎える人の家族,特に40~50代ビジネスパーソンへの支援が加わった。親の介護,その先の看取り,それらと仕事との両立など,超高齢少子化多死時代の社会的課題は大きい。それらの解決に向け,オフィシャルパートナーを含め,さまざまな支援者とのつながりを強化しながら,エンドオブライフ・ケア協会は活動をより一層強化していくという。

社会的課題として活動を認知してもらうために......

  • 超高齢少子化多死問題は,これからの大きな社会的課題である一方で,地域の医療・福祉・まちづくりなど,多くの場合,各セクターが独自の解決策を指向しています。
  • 従来機能していたコミュニティは高齢化などにより,つながりが希薄化していき,孤立していく人が増えることでしょう。
  • この社会的課題はいずれだれもが当事者になる性質をもちながら,多くの場合,直面しないと関心を寄せるようになりません。このつながりが希薄化した現代社会において関連団体と協働し,つながりを作る活動を推進します。そして,この社会的課題への関心を高めていきます。

(小澤竹俊氏 活動報告より)

 エンドオブライフ・ケア協会 設立2周年シンポジウムのなかから,小野沢滋氏(同協会理事・みその生活支援クリニック院長)による『急性期病院とどうつきあうか データで見る急性期病院』,西川満則氏(同協会相談役・国立研究開発法人国立長寿医療研究センター医師)による『地域でつなぐその人の選択と心構え~地域におけるアドバンス・ケア・プランニングの進め方~』の2講演を,9月末発行のTherapeutic Research 2017年9号に掲載する予定です。

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