本格的な夏シーズンを前に,6月23日,国立循環器病研究センターは,夏の脳梗塞を予防するための注意を呼びかけた。
脳卒中には2つのタイプがあり,脳の血管が破れる「脳出血」と,脳の血管が詰まる「脳梗塞」に分けられる。一般に"脳卒中は冬に起こりやすい"とされているが,脳梗塞だけに限ると夏の発生数が多くなる。
夏に脳梗塞が多発する原因として,脱水による体内の水分不足があげられる。とくに日本人に多いラクナ梗塞とアテローム血栓性脳梗塞は,脱水との関係が比較的強いと考えられている。
夏には発汗量が多くなるため,それに見合った量の水分を補給していないと脱水症状に陥り,血流が悪くなったり血栓ができやすくなる。とくに暑い夜の就寝中は脱水が起こりやすく,また夜間に血圧が下がり,血流が滞って血管が詰まりやすくなる。また,飲酒は尿量を増加させ,脱水の原因となる。これらの要因が重なると夜間に脳梗塞を発症するリスクが高くなる。
脳梗塞を予防するためには,こまめな水分補給が重要である。とくに高齢者はのどの渇きを感じにくくなっているため,定期的に水分を補給する必要がある。就寝前の大量飲酒を避け,コップ1杯の水を飲むことが勧められる。また,夏かぜなどの感染症を起こすと,血液が固まりやすくなり脳梗塞のリスクが高まるため,夏かぜを防ぐことも脳梗塞の予防対策として重要である。
また,下記のような症状が急に起こった場合は,ただちに受診する必要がある。
・からだの左右どちらかが動かせない,力が入らない
・からだの左右どちらかがしびれる,感覚が鈍くなる
・ろれつが回らない,言葉がでてこない
・片方の目が見えない,視野が半分欠ける
・足もとがふらつく,立てなくなって倒れる
・めまいが起こる
【ニュースソース】
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国立循環器病研究センター 総務課広報係(内線8496)
小林 良平(コバヤシ リョウヘイ)
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