国立国際医療研究センター病院AMR臨床リファレンスセンターは,2017年11月9日,薬剤耐性AMR情報サイトに,「抗菌薬意識調査2017」の結果を公開した。
抗菌薬が効きにくい薬剤耐性(AMR: Antimicrobial Resistance)を持った細菌は世界的に増えており,大きな問題となっている。同センターはAMR対策の普及啓発活動の一環として,インフォグラフィックによる「知ろうAMR,考えようあなたのクスリ」をシリーズ化して公開しており,今回の調査結果の公開はその第3弾である。
意識調査は,一般の10代~60代の男女710名(男性350名,女性360名)を対象に,抗菌薬について正しい知識を持ち,正しく服用できているのかを調べた。
調査の結果,抗菌薬・抗生物質とは何か知っている人はわずか37%であった。「抗菌薬がどのような病気に有効だと思うか」という質問に対しては,インフルエンザ,風邪に有効と答えた人は,それぞれ50%,44%にのぼった。抗菌薬は"細菌"に対する薬であり,風邪やインフルエンザの原因となる“ウイルス”には効果がない。しかし,アンケートでは2人に1人がインフルエンザや風邪に有効と回答していることから,半数近くの人が抗菌薬について誤った認識を持っていることがわかった。また,病院で抗菌薬を処方されたときに,わからないことがあっても医師や薬剤師に質問しない人は42%,処方された抗菌薬を飲み残してしまったことがある人は37%であった。さらに,飲み残した抗菌薬をいつか使おうと思ってとっている人は29%,体調が悪い時に飲んだことがある人は21%,家族や他人からもらった抗菌薬を飲んだことがある人は21%であった。抗菌薬・抗生物質は医師の指示どおりに飲みきる必要があり,たとえ症状がよくなったからといって途中で服用をやめてしまうと感染症がきちんと治らない恐れがある。しかし,アンケートの結果,抗菌薬を正しく服用できていない人が多くいる現状が明らかとなった。
AMR臨床リファレンスセンターでは,薬剤耐性による死亡者数を減少させるためには1人1人が正しい知識を持ち,抗菌薬を使用することが必要であると呼びかけている。
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