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発表日 2020年8月3日
人工知能(IBM Watson)の活用により,円錐角膜に関連する遺伝子変異を発見

京都大学大学院医学研究科眼科学教室の三宅正裕特定助教らの研究グループは,ゲノムワイド関連解析(GWAS)と人工知能(AI)のIBM Watson for Drug Discoveryを組み合わせて候補遺伝子数を絞ることによって,円錐角膜の発症と関連している遺伝子を確認した。

円錐角膜とは

円錐角膜は,角膜が薄くなったり円錐状に尖ったりする原因不明の疾患。10~20代で発症しやすく,進行性の視力障害をきたす。最初は近視と思ってメガネを購入したりすることが多いが,ある程度以上に進行すると角膜移植が唯一の治療法となるため,早期の発見が重要な疾患である。

これまでの円錐角膜関連遺伝子探索

これまでも円錐角膜を引き起こしやすくする遺伝子(円錐角膜感受性遺伝子)の探索は行われてきたが,症例の集積が不十分なために,ヒトゲノム全体から網羅的な解析を行うGWASでは同定されていなかった。代わりに,(1)一般人口を対象として「角膜の厚み」に関連する遺伝子を同定し,(2)それらを候補遺伝子として円錐角膜との関連を確認する,という二段階の手法によって,6つの疾患感受性遺伝子が特定されていた。

GWASとIBM Watsonを組み合わせにより眼疾患である円錐角膜の疾患感受性遺伝子の同定に繋げた世界で初めての報告

三宅正裕特定助教らは「ながはま0次予防コホート事業」(長浜スタディ)の5,299人のデータを用いて「角膜の厚み」に対するGWASを行い,これまで円錐角膜との関連が報告されていなかったSTON2遺伝子についても強く関連していることを確認した。そこで,179人の円錐角膜検体を用いてSTON2と円錐角膜の関連を調査したところ有意な関連を認め,新たな円錐角膜感受性遺伝子であることを確認した。

さらに感受性遺伝子を同定するため,これまでに報告されている文献をすべて学習しているWatson for Drug Discoveryを用いて,『既報で円錐角膜感受性遺伝子として報告されている6つの遺伝子と今回新たに同定したSTON2』と『「角膜の厚み」に対するGWASで一定以上の関連を認めた42個の遺伝子』の関連度を可視化。その結果,42個の候補遺伝子のうちSMAD3遺伝子も円錐角膜と強い関連を認めることを確認した。

今回の研究では,サンプル数を増やしたGWASにより新規感受性遺伝子の同定に結びつけるだけでなく,人工知能を活用することで,サンプル数の集積が困難な希少疾患の病態解明が促進される可能性が示された。

原著はこちら(フリーで閲覧可能)
Hosoda Y, Miyake M, et al; The Nagahama Study Group. Keratoconus-susceptibility gene identification by corneal thickness genome-wide association study and artificial intelligence IBM Watson. Commun Biol 2020 3 Article number: 410.

【ニュースソース・問い合わせ先】
京都大学
〒606-8501 京都市左京区吉田本町
Tel:075-753-7531

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2019年10月発行

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