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[学会情報]米国心臓協会学術集会(AHA)2010
on-site interview with the chairperson
AHA 2010会長Jessup氏に聞く— 個別化医療への舵取りが本格化
interview with Dr. Mariell Jessup
「臨床医」が遺伝子型について学ぶべき時代がやってきた

今年のAHAは,個別化医療を意識した研究についての発表が増えてきたという点が非常に特徴的でした。

たとえばASCOT試験ではCRPに着目し,CRPは予後予測因子としていかに用いればよいのか,そしてそれはすべての患者で評価すべきなのか,また治療選択においてどのように活かすべきなのかという課題に取り組みました。それ以外の多くの領域でも,治療に反応する患者とそうでない患者について,私たちは学ぼうとしています。すべての患者に同じような治療を行うのではなく,より細やかな治療を行うためのデータが揃いつつあるのです。

とくに抗血栓療法では,個々の患者の血小板応答性や遺伝子型をもとに治療を行おうという機運が高まっています。

遺伝子型データベース(bank)が構築されることは遠い未来ではありません。今後,臨床医は,このデータをもとに抗血栓薬を選び投与することになるでしょう。臨床医はこれらによく通じていなければなりません。おそらく多くの臨床医は,この領域の研究を敬遠しているように思いますが,遺伝子型と薬剤応答性について臨床医が真剣に学ばなければならない時代は,今まさにやってこようとしています。

うまくいけば,臨床医をアシストするケアシステムが病院内のコンピュータシステムなどに備わり,たとえば関連情報がポップアップウィンドウに表示され,臨床医の注意を促すようなことが可能になるかもしれません。たとえば,電子診療録(EMR)にデータやオーダーを入力すれば,コンピュータが自動的に,「遺伝子型などについてのさらなる情報も必要ですか?」と尋ねてくるようなシステムも,あり得ると思います。いくつかの病院では,ワルファリン用量をガイドするアルゴリズムをEMRに備えています。

Profile: Dr. Mariell Jessup
University of Pennsylvania School of Medicine, Philadelphia

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