3月14日〜16日,アトランタ(米国)において,米国心臓病学会(ACC)の学術集会,およびインターベンション領域を対象にしたI2 Summitが開催された。本学会は心血管領域の最重要学会の一つであり,毎年,世界100ヵ国以上の専門家が参加している。3日間にわたり,臨床教育から,最先端の臨床知見やテクノロジーにおよぶ幅広いセッションが行われた。
なかでも,“Late-Breaking Clinical Trials(LBCT)”は,初めて臨床試験の結果が発表される注目のセッションである。ここでは,とくに臨床医の関心が高いと思われる5試験を取り上げ,その発表概要を紹介する。
CABANA Pilot Study | Catheter Ablation vs Antiarrhythmic Drug Therapy for Atrial Fibrillation |
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試験背景/目的 心房細動(AF)の治療においては,おもに抗不整脈薬による治療が行われている。しかし,薬剤の重篤な副作用が発生したり,他疾患合併例では治療が困難などの問題がある。
そこで,AF難治例を対象とし,カテーテルアブレーション治療と抗不整脈薬治療の有効性を比較するCABANA Pilot Studyが行われた。
3月15日のLate-Breaking Clinical Trials IIにおいて,Douglas L. Packer氏(Jefferson Medical College, Philadelphia, PA)がこの試験の結果を発表した。
試験プロトコール CABANA Pilot Studyには米国の11施設が参加。対象はAF患者(発症4ヵ月以上で2回以上の発作性AFエピソードを有する例,または1週間以内に1回以上の持続性AFエピソードを有する例)で,65歳以上,または65歳未満で以下の危険因子を一つ以上有する60例。高血圧,糖尿病,心不全,脳血管障害既往,一過性脳虚血発作既往,左房サイズ>5.0cm,駆出率≦35%。
抗不整脈薬治療群(31例)とカテーテルアブレーション治療群(29例)にランダムに割付け12ヵ月間追跡。
試験結果 患者背景は,平均年齢61歳,男性77%,駆出率55%,左房サイズ4.4mmであった。
症候性AFの回避率は,カテーテルアブレーション治療群では,抗不整脈薬治療群に比して有意に高かった(65% vs 41%,ハザード[HR]比0.42,95%信頼区間[CI]0.19-0.95,P=0.033)。症候性AF,心房粗動,心房頻拍の回避率も,カテーテルアブレーション治療群のほうが高かった(61% vs 38%,HR 0.46,95%CI 0.21-0.99,P=0.042)。
この結果についてPacker氏は「症候性AFの再発抑制には,抗不整脈薬治療よりもカテーテルアブレーション治療のほうが有効であることが示されました。しかし,この試験の対象患者には持続性AF患者が多かったためか,他のランダム化臨床試験に比べて,治療成功率が低いという結果になりました」と問題点を指摘し,「AF治療の長期的なアウトカム,死亡率,QOL,コストを明確にするため,より大規模な試験を行うことが必要です」と結んだ。
< 2010.7.01 >
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THERAPEUTIC RESEARCH vol.31 no.6 2010
< 2010.6.28 >
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No.17 – 2010: 「「アマリール®」が小児2型糖尿病患者にも使用可能に」ほか
< 2010.6.24 >
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[トピックス] 脳卒中の予防啓発活動の重要性
< 2010.5.31 >
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< 2010.5.11 >
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