2009年10月22日〜24日にパシフィコ横浜で開催される第47回日本癌治療学会学術集会では,日本の学会では初めての取組みとして,癌患者支援,癌医療対策などに関わる癌患者・支援者に対する学術集会参加費・交通費・宿泊費を助成する「がん患者・支援者スカラーシッププログラム」が実施される。これについて7月8日,第47回同集会 会長 杉山徹氏(岩手医科大学医学部産婦人科学教室 教授)らが記者会見を行い,同プログラムの概要と実施背景,関連する取組みなどについて紹介した。
これまで日本癌治療学会学術集会は,他の医学学会と同様に,医師を中心とした医療者のための集会として開催されてきた。しかし癌治療は複雑化,個別化しており,単純な標準的治療だけでは治療展望が開けなくなっている。2007年に閣議決定された「がん対策推進基本計画」では,医療関係者,患者・家族・患者会を含む市民団体,マスメディアが一体となった癌対策への取組みが必要であることが明言された。現在多くの癌患者団体,癌患者支援団体が同計画のもとに活動し,国や都道府県の癌対策協議会委員などの役割も担っている。
このような流れを受けて,日本癌治療学会では,癌患者支援・癌医療対策などに関わる癌患者・支援者に開かれた議論の展開を目指し,スカラーシッププログラムを実施することを決定した。このようなスカラーシップの取組みは,欧米の学会では20年前から実施されている。杉山氏は「海外の学会に参加している医師は気が付いていると思うが,日本の医療は閉鎖的。この取組みに対しても,医療関係者のうち賛成者は2割,反対者が2割,よく分かっていない者が6割というところだろう。しかしこのままでは医療が発展しない」と訴える。この取組みは,医療者への患者との協業に対する啓発の意味も含まれているようだ。現在のところ企業からの協賛の予定はなく,同プログラムの予算は全額,同学会から支出される見込み。
助成内容は【1】学術集会参加費用(¥18,000円の免除),【2】実費相当の交通費(全国エリア別に1万〜5万円),【3】3泊分(前泊を含む)のホテルの無償提供。
対象数は50名で,これまでの活動状況・今後の活動予定をもとに審査・選考が行われる。選出者には,学術集会後に簡単なアンケートおよびレポートの提出が求められる。
本学術集会では癌患者,家族,患者会などが癌治療の科学的最新知見を習得する場や,情報交換を行う場,課題,問題を提起する場(ラウンジ・ブース)も用意されている。患者会の出展ブースでは,多くの医療者との接点の場となることが期待される。
応募は同学術集会ウェブサイトより応募用紙をダウンロードし,必要事項を明記し,スカラーシップ事務局までFAXまたは郵送のこと(7/31消印有効)。
< 2010.7.01 >
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