喘息治療に対する,医師と患者の治療満足度の向上を目指し,アストラゼネカ株式会社は帝京大学医学部内科学呼吸器・アレルギー内科の大田健氏と共同で,気管支喘息治療についての実態調査A Clinical survey To Understand real Asthma Life for patients II(ACTUAL II)を実施した。
ACTUAL IIは,喘息の診断・治療に対する医師・患者の満足度を向上させる要因を明確にして,将来のリスクを軽減する治療戦略の策定に活かすことを目的とし,気管支喘息患者を診察している日本の医師4,766名と,その患者24,150例を対象とした本邦最大規模の調査。調査方法はランダムサンプリング調査票記入郵送法で,調査期間は2009年7月〜10月。
調査の結果,医師・患者ともに,理想とする長期管理には到達しておらず,理想と現状の間には大きなギャップが生じていることが判明した。
また,約9割の対象患者に,配合剤を含む吸入ステロイド剤が処方されていたが,病態の認識不足などによるアドヒアランスの低さなどにより,半数以上がコントロール不十分であった。多くの患者は,喘息を「気管支が狭くなる病気」と認識しているが,基本病態である「気道の炎症」「気道過敏性」と認識している患者は半数以下であった。
さらに,喘息治療を受けている患者の治療満足度は比較的高い(10点満点で平均7.7点)が,約半数の患者が「週1回以上発作治療薬を使用する」「朝起きたときに症状がしばらく治まらない」などの症状を訴えていた。医師・患者ともに,理想とする「発作のない健康な人と同じ生活」が,実際の治療目標としては十分に認識されていないことがうかがわれる。
この結果を受けて,大田氏は「患者の満足度にもっとも影響を与える因子は『長期にわたって発作のない安定した生活』『数分で症状が消失し,長時間安定した状態』であることがわかった。今後の喘息治療では,医師と患者が相互にコミュニケーションをとりながら,より高い治療目標を目指してもらいたい」と述べた。
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