THERAPEUTIC RESEARCH On-line

国内でED（勃起障害）治療薬を製造・販売している4社（ファイザー株式会社，バイエル薬品株式会社，日本イーライリリー株式会社，日本新薬株式会社）は合同で，偽造医薬品の注意喚起を目的に，インターネット経由で入手したED治療薬の鑑定調査を実施した。

日本−タイ間では偽造医薬品に関わる事件，事例が発覚し各社に多く報告されているため，日本およびタイにおいて日本語で運営されている「個人輸入代行」サイトを調査対象とした。「バイアグラ」，「レビトラ」，「シアリス」を販売している1サイトごとに各ブランド1サンプルずつ，両国で30サンプルずつ購入（タイの場合はタイ国内で発注・商品受領）し，各社が真贋鑑定，含有成分の分析を行った。

その結果，入手したED治療薬の55.4％（102/184）が偽造品であることが明らかとなった。国内発注分では43.6％，タイ発注分では67.8％が偽造品だった。

成分分析の結果，偽造品の品質にはばらつきがあり，有効成分含有量が承認用量を超過あるいは不足，またはまったく含まれていないもの，他の成分あるいは複数の不純物が含まれるものが確認された。

今回の調査結果について，東京歯科大学市川総合病院・泌尿器科教授の丸茂健氏は「EDは医師に相談しづらい疾患で，一人で悩んだ結果インターネットで購入し，使用されているかたもいると思います。しかしEDには心臓病や糖尿病などの重大な疾患が隠れている場合もありますので，まず医療機関を受診することがED治療の早道です」と述べている。

バイアグラ（海外製品　左下の箱のみ真正品）

レビトラ（海外製品　左：真正品、右：偽造品）

シアリス（海外製品 左：真正品、中央・右：偽造品）